2023年5月例会
5月27日の例会は筆者、田中悦子によるステンドグラスの歴史など紹介させて頂きました。
以下に説明させていただきます。
ガラスの起源は、紀元前2千年頃に古代メソポタミアやエジプトであると言われています。
沙漠のたき火の熱で偶然砂と岩塩が反応して透明な液体となって溶け出し、
それが固って誕生したのではないか、と言い伝えられています。
ガラス自体はローマ時代から建物に使われていて、 5世紀には色付き窓ガラスについての記録が残っています。
その後、キリスト教の教会からの需要で発展してきました。
ゴシック建築最盛期の14世紀頃には大聖堂や教会だけでなく宮殿や城館、
一般の住宅にも取り入れられるようになりましたが12世紀より続いたステンドグラスの黄金期も
16世紀におこった宗教革命や18世紀ごろの産業革命などにより一時は衰退してしまいます。
イギリスでは、ヴィクトリア朝時代に産業革命の結果として、
大量生産による安価で粗悪な商品があふれ、そんな状況を、ラファエル前派の思想を受け継いだ
ウィリアム・モリスは憂い、中世の手仕事に帰り、生活と芸術を統一することを主張しモリス商会を設立しました。
装飾された書籍や、ステンドグラスを含むインテリア製品を次々に製作していきました。
生活と芸術を一致させようとしたモリスの思想と実践(アーツ・アンド・クラフツ運動)
は各国にも大きな刺激を与え、アール・ヌーヴォーにも大きな影響を与えました。
19世紀末にはアメリカ合衆国のルイス・C・ティファニー、
(宝石商として有名なティファニー家の2代目に当たる人物)は家業を継がず、
画家としてキャリアをスタートした後に室内装飾家となり、自身の編み出した技法により、
ガラス芸術家として功績を残しています。
日本に登場した初めてのステンドグラスは、19世紀末にフランスから長崎の大浦天主堂に寄贈された
「十字架のキリスト」だと言われています。
昭和20年、原子爆弾の爆風によって大破し、今日のそれは、戦後の復旧工事でパリのロジェ商会に発注したものです。
アメリカ合衆国では1950年代頃から徐々にティファニーの作品の模倣が流行り、
趣味としてのステンドグラス作りが広まり、日本でも1970年代の頃からブームとなりました。
長崎にもステンドグラスを趣味とする人が増え、至る所で目にするようになると異国情緒の豊かな町として
さらに、色をそえるのではないかと考えております。